学校と勉強とそれから私

某大学に通う、現役大学1年生がお送りする、学校のことと、学びのことと、それから私に関することについて書き残すブログです。

【学校】9月入学を考える②

みなさん、こんにちは! umaです。

ここ数日、気温が下がって、外の空気が少し冷たく感じます。何日かすると、また容器が戻ってくるようですが、あと数週間もすれば、梅雨の時期がやってきます。なかなか季節を感じるようなことができていないので、時間の流れがあっという間のように感じます。

さて、本日の題は「9月入学」です。
この新型ウイルスの影響で、急激に議論の進んだ「9月入学」ですが、ここ数日で驚きを隠せないような進展を見せたので、記事にしてみようと思います。

ちなみに、記事のタイトルに②とありますが、前身『umaの学校観察日記』でも一本このテーマで投稿していまして、そういったものに関しては通し番号で、続けていこうと思っています。気になっていただいた方は、ぜひお読みください。

 これまでの動き

一度、これまでの動向を再確認してみようと思います。日付順で、大きな動きがあったものを書き出していきます。

4/29 全国知事会、九月入学制の検討を国に提言することを決定
     安倍首相、衆院予算委で9月入学検討可能性示唆

4/30 菅官房長官、記者会見で9月入学について触れる
     副官房長官の指示で、具体的検討に入る

        -各業界で議論が進むー

5/11 日本教育学会、拙速な導入を反対

5/12 萩生田文科相、「学習格差の解消になる」と述べる

5/14 安倍首相、会見で9月入学を「有力な選択肢」の一つとする

5/15 政府、次官級チーム設置の方針固める

5/18 「五年移行案」検討が判明

5/19 文科省、二つの例を提示

この後も次々と報道が続いていますが、大きな動きは、この19日のものと言えるでしょう。小学校に焦点を当てて考えられたこの例について、詳しくお話していきます。

文科省の「二つの例」

①一年で移行する

まず、一つ目のものについてです。
この例では、2014年4月2日~2015年4月1日生まれの子どもに加え、9月1日生まれまでの子どもを一緒に入学させる、としています。この場合、1年で新制度に移行することが可能です。しかし、試算では例年より、学年に40万人増えることになるそうです。これを採用するならば、教員の確保、教室の準備などが課題になります。

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①1年で移行する

②だんだん移行する

2つ目の例では、①の課題を解消する形のものになります。2014年4月2日~2015年4月1日生まれの子どもに加え、5月1日までの子どもを一緒に入学させます。これで、2021年度の新入生は1年1か月分の子どもになります。
2022年度新入生は2016年6月1日生まれの1年1か月、2023年度新入生は2017年7月1日までの1年1か月、というように5年続けていくことで移行させる、というものです。これにより、①の課題を乗り越える形にはなりますが、入学時期が毎年1か月ずつずれることによる弊害はたくさんあります。

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②だんだん移行する

文科省案の課題

今回は小学校を例にとっていますが、これを小中高校やさらには大学や幼稚園・保育所に導入するとなると、それぞれにたくさんの課題が浮上してきます。

学校運営について、全体に共通する部分でいうと、学内の行事をずらさなくてはいけなくなります。運動会などの行事は、気候による部分が大きく、ただ入学時期と一緒にずらそうとすると、暑さや寒さによるけがや体調不良を生むことになります。そのため、それぞれに検討を重ねる必要が生まれます。中学校や高校では、部活動も課題になるでしょう。屋外などの部活では、運動会同様の気候に関する問題が出てくるでしょう。また、三年生の引退の時期などが左右されるため、各種大会の日程調整が必要になります。

私は運動部についてはあまり詳しくないのですが、少し例を出してみます。文科省の例②が採用された場合、野球部の甲子園球場で行われる本大会は、単純に考えると、9月、10月、11月、12月、1月、2月とずれていきます。サッカーは全国大会は冬に行われます。これはだんだん夏にずれていきます。いままでのオフシーズンに日時がひっくり返る種目もあると聞きました。これが果たして可能なのか、検討を重ねていくことになるでしょう。

ここまで、学校運営を主にお話してまいりましたが、そもそも9月入学に変更する目的と、結局のところ9月入学は導入できるのか、個人的見解になりますが、お話ししたいと思います。

当初の9月入学の目的

そもそも、9月入学は「学習の遅れへの対策」ということを火種として、議論がすすめられるようになりました。ですが、この話自体は、何年も前から始まっていたものであるのはご存じでしょうか。日本が古くから様々な制度を参考にしてきた欧米諸国の入学時期が9月であるのを受け、国際化を目指した諸機関は9月入学にできないかを検討してきました。10年ほど前には国内最高学府・東京大学でも議論され、その結果導入できなかった、という過去もあります。学校が9月にずれるとなると、就職に関して、企業の採用体系も変化してもらわないと、就職活動の時期を極端に前後させる必要が出てくる、などの課題が出てきて、多方面からの反発も大きかったようです。

そのような流れで議論されてきたこの問題ですが、果たして導入すべきなのでしょうか。

結局のところ、、、。

私は、正直「9月入学」に関しては反対です。

というのも、再三になりますが、この問題が急に取り上げられるようになったのは、「学習の遅れへの対処」という部分が多く、今まで議論されてきた理由とは大きく異なります。また、この理由で導入するならば、この9月までに導入しなくてはなりません。残された時間はたったの3か月程度しかありません。この期間で、ここまで上げてきた諸問題を解決できるとは到底思えません。このままでは、導入することによる弊害の方が大きいでしょう。
結果、学習面への配慮もなされない、ということにもなれば、急いだ意味さえもなくなってしまいます。このような理由から、急いで検討すべきことではないと思います。
また、学習面だけでいえば、地域によっては学校が始まっていたり、6月をめどに、というところも多いと聞きます。受験生に対する配慮をどう考えていくかが重要ですが(個人的には今の時点で取り組めていない人は例年通りの授業が行われていても勉強しないように感じます)、9月入学以外の選択肢がとれる段階まで回復しているように感じています。
しかし、この数か月で消えていった学校生活や部活動の時間に対する補償、という意味では、子ども側がそれを求める気持ちはわかります。私も、留学を検討していたのですが、この情勢下では厳しいのに重ねて、後ろにずらすことで就活にも影響する可能性があることから、断念しようと思っています。そのため、身動きのとれなかった分をずらしてもらえれば、留学に行くことのできる可能性が出てくると考えると、悪い話でも、、、と思うこともあります。しかし、そのようなことも含めて考えてみても、決して賛成だとは言えない、というのが私の考えです。

最後に

ここまで、9月入学について、いろいろとお話してきました。私の思いとしては、大人の都合で子どもの貴重な学校生活を無駄にしないようにする、9月入学は何を目的にしているのかを忘れない、この2つを大事に議論していってもらいたいと思います。また、この議論については、ゆっくりでもいいので、ここで終わらずに「平時」に戻ったその時にも続けていただきたい、と思っています。

 

長々と書き連ねてしまいましたが、今回はここまでにしたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

それでは、次の記事でお会いしましょう!
See you the next article!!